エッジコンピューティング、AI、ブロックチェーン――
先進技術を誇る企業と連携でIoTのフロンティアを目指す

 

IoTの実用化を推進していくためには、さまざまな先端技術との高度な連携が不可欠となります。今号は、当社代表取締役副社長 CTO COO 研究開発本部生産本部 本部長の濵田晴夫が、IoTの活用領域拡大に向けた技術的な方向性について解説するとともに、先進的な技術を擁するさまざまな企業とのパートナーシップ戦略と将来展望について語りました。

エッジコンピューティングの進化がIoTの活用シーン拡大の鍵に

あらゆるものがインターネットにつながる「IoT(Internet of Things:モノのインターネット)」の分野では、遠く離れたクラウドにデータを集中させるだけでなく、現場で処理を行う「エッジ(末端)コンピューティング」という考え方が新たな潮流になりつつあります。センサーや車、ロボットなどから送信される情報を、それらの“モノ”に近い場所で処理し反応速度を高める、といった、クラウドとエッジコンピューティングの使い分けが、企業の競争力強化に直結してきているからです。

米国・インドの調査会社であるマーケッツ&マーケッツ社の調査によれば、世界のエッジコンピューティング市場は、2017年の14億7000万ドルから2022年には67億2000万ドルに成長する、との見通しが示されています。

遅延が許されないリアルタイム性が求められるアプリケーションやサービス、あるいは、膨大なデータ量を転送するアプリケーション・サービスにおいて、センシングされたデータに対して複数の同時処理を実現しようとした場合、クラウドだけでは間に合わないのが実情です。クラウドとのデータ通信には最低でも数十ミリ秒が必要となるのに対し、リアルタイムのアプリケーション・サービスでは数ミリ秒程度しか時間的な猶予がないケースが多いためです。

従来のIoTでは、各種機器から送信されるデータを外部のクラウドに集約する形態が中心でした。データを1カ所に集めることで、人工知能(AI)や専用ソフトウェアを用いた分析を行いやすくするためです。

一方、課題点として、前述したスピードの問題が浮上していました。たとえネットに常時接続されていたとしても、センサーから集められたデータをクラウドに伝送する際にはデータの通信量を抑えるため、センサーノードやその近くのゲートウェアでデータを処理し、クラウドには絞り込まれたデータを送る必要があったからです。

クラウドが「中央集権型」なら、エッジは「地方分権型」と言えます。コンピュータの歴史を振り返れば、この両者を行ったり来たりの繰り返しでした。1980年代までの大型コンピュータ全盛期には、データの集中化が主流でした。その後、パソコンなどの普及で分散化が進みましたが、現在では、通信速度の向上もあってクラウドへの集中が加速しています。

しかし、ロボットを含めた制御系でのアプリケーション・サービスをはじめ、地震対策、遠隔医療などハードウェアと連携する分野では、クラウド上での処理だけでは立ちゆかなくなっています。そうしたことから、地方分権型、すなわち分散処理が再び必要とされているのです。

こうした現実を把握したうえで、将来を見据えた技術を開発していかなければなりません。われわれはIoT の導入を進める過程において、これまで指摘してきたような現実的な問題に直面してきましたが、エッジコンピューティング技術の構築により問題解決を図ってきました。この現場での経験や実績を通じて、その先に見え隠れしていた新しい技術パラダイムが次第に明らかになっていったのです。

以下、問題解決に向けた具体的な試みと、開発スピードを最大化するための外部協力企業とのコラボレーションについて解説し、今後の当社の技術開発の基軸を明確にしていきたいと思います。