IoT時代に必要とされる
無線通信技術

自由に使えず料金が高い3G・LTE

現在、インターネットは大きく変化をしようとしている。その原動力となっているのが、IoT(Internet of Things)だ。これまでインターネットに繋がっていたのは、パソコンやスマートフォンといった情報関連の機器だけだった。しかし、IoTでは情報関連以外の機器にも、カメラやセンサーが取りつけられ、インターネットにつながるようになる。たくさんの機器から送られてくる情報は、私たちの生活をさらに便利にしてくれるようになるだろう。

IoTが大きく発展するかどうかのカギを握っているのが無線通信技術。私たちが、携帯電話やスマートフォンで利用している3GやLTEも無線通信技術の一種だ。3GとLTEはもともと屋外で携帯電話を接続するために開発された無線技術で基本的に同じようなものだ。他の通信技術と比べ通信エリアが広く、通信速度も速い。

ただし、3GとLTEは誰でも自由に使えるものではない。電波は限られた周波数帯しか使うことができない。特に通信エリアが広い3GとLTEのサービスをおこなうためには無線局免許を取得し、たくさんの基地局を用意する必要がある。そのため、3GやLTEの通信料金は高めに設定されている。そして、通話やデータ通信をしていないときでも、常に基地局とのやりとりが必要なので、機器の消費電力は大きくなる。

ネックとなる通信エリアと消費電力

また、最近よく耳にする無線通信技術に、Wi-FiとBluetoothがある。Wi-Fiは、家庭やオフィス内で使われている無線LANに用いられているもので、利用するのに無線局免許は必要なく、通信は比較的速い。しかも、自分でWi-Fiルーターを設置すれば通信料金もかからない。ただし、通信エリアが数百メートルくらいしかなく、消費電力も大きいので、主に室内での無線通信用として利用される。最近では、公共の場でもWi-Fiを利用できる場も増えてきたが、利用するために料金がかかる場合もあるので注意したい。Bluetoothは、デジタル機器を接続するときなどによく使われる。これも基本的に無料の無線通信だが、消費電力が大きいのと通信エリアが10~100メートルほどなので、用途が限られる。

これらの無線通信技術は、情報関連の機器では使いやすい面もあるが、それ以外の普通の機器をインターネットにつなげるIoTでは利用しにくい。IoTには低価格で比較的広い範囲でつながる新しい無線通信技術が必要だと考えられているのだ。

IoT時代に注目されるLPWA

そこで注目されているのがLPWAという無線通信技術だ。LPWAは、Low Power(低消費電力)とWide Area(広範囲)の頭文字を組み合わせたもので、数十キロメートルの広い通信エリアで接続することができるにもかかわらず、通信ユニットの消費電力を低く抑えることができる。これは通信ユニットの小型化、簡素化につながり、低コストでたくさんの機器に搭載できるようになる。

通信容量は他の無線通信技術と比べると小さなものになってしまうが、センサーからの情報をやりとりするIoTが必要な通信量は、情報関連機器と比べると格段に小さいものなので、そのあたりはあまり問題にならない。LPWAは、たくさんの機器を低コストでインターネットにつなげる最善の方法として、IoT普及の原動力になろうとしている。

IoTに適しているLPWA

LoRa WANとLoRa Private

LPWAは大きな可能性を秘めている新しい技術だ。だが、それ故にたくさんの企業やグループが参画し、SIGFOX、LoRa、NB-IoTなどと、様々な通信規格がつくられている。世界的に見てみると、実際にサービスが始まっていて、これらの規格の中で将来性が高いと見られているのがLoRaだ。

LoRaは、もともと軍事レーダーなどに使われていたチャープ信号を使った独自のスペクトラム拡散方式の変調(LoRa変調)がベースになっていて、低消費電力で電波を遠くまで飛ばすことができる。しかも、市街地や屋内などの障害物が多い場所でも接続が安定している。

LoRaという名前は、もともとデータを電波に乗せるときの変調方式のことを指していたが、今では、LoRa変調を利用した無線ネットワーク全体を指すことも多くなった。そのような使われ方をする場合、実は、LoRaには、大きく分けて2つの方式がある。1つはLoRa WANで、もう1つがLoRa Privateだ。